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ご先祖様に心から感謝!
やってよかったお墓の引っ越し

梅窓院参道 浄土宗改葬

先週のお盆休みに毎年恒例の墓参りに行ってきました。
わたくし事ですが、9年前の夏に故郷の山口県からお墓を東京に移しました。お墓の引っ越しのことを「改葬(かいそう)」といいますが、この改葬が思いのほか大変だったものですから、そのときのことを少しお話ししようと思います。

田舎にはよくある墓地の形態なのでしょうが、もともとのお墓は明治時代に有志で山を切り開いて墓地にしたそうです。傾斜地ですから本来なら道も階段状に整備されるべきなのですが、実際には土がむき出しになっていて雨の後ぬかるみが酷かったことをよく憶えています。
夏になると草木は生い茂り、蚊はすごいわヘビは出るわ。墓参りという行為自体、草刈りから始まる半日がかりのイベントになるわけです。帰省するたびにこの苦労はたまったものではありません。
「いつか絶対にお墓を東京に移してやる!」とひそかに考えていたところ、母親を東京に引き取ったことをきっかけに、お墓の移転計画が一気に進展することになりました。

引っ越し(改葬)の終わった新しいお墓はまさに快適そのもの。休憩所やトイレなど敷地内は整備が行き届き、年間にいくらかの管理料を払うだけで落ち葉の掃除や雑草の手入れもありません。今は「ああ本当に引っ越してよかったなぁ。」と、心からご先祖様に感謝していることろです。
ところが、実際の改葬作業は考えていた以上に煩雑でした。埋葬法などの法律や行政の指導に沿った事務的な作業もさることながら、親戚への説明やお寺さんとの折衝など、色々なハードルがありました。
このブログをお読みになっている方の中にも、地方出身者で私と同じ「お墓に関する悩み」を抱えている人も多くいらっしゃると思います。今回は自分の経験をもとに、お墓の引っ越し(改葬)の流れを備忘録としてまとめてみました。
地域性もありますので当てはまらないケースもあると思いますが、ご参考になれば幸いです。


①【移転先(改葬先)墓地の確保】
まず最初にいくつかの候補の中から移転先墓地を選定します。大概は墓石屋さんが契約の窓口になっていて、墓地の使用料と墓石がセットの料金となっています。そのセット料金以外には毎年の管理料がかかります。公園型の墓地では宗教の形式は問われませんが、お寺の敷地内の墓地では特定の宗派に限定される場合が多く、その宗派の檀家となることが条件となっている場合もあります。
墓地の永代使用契約と墓石の発注が完了したら、遺骨の「受入証明書」「永代使用許可証」の発行をお願いしておきます。これらの書類は後の改葬許可申請にときに必要となります。


②【現在の墓地管理者とのミーティング】
次に必要なのが、現在の墓地管理者(お寺や霊園)へ移転の意思を伝えることです。また、改葬許可申請のときのために誰の遺骨がお墓に入っているのかを確認しておかなければなりません。お寺の場合ですと過去帳を出してもらい、故人の俗名(本名)や享年(死亡年月日)などをリストアップしていきます。
最近では個人情報保護法の影響もあり、檀家といえども正当な理由がない限り簡単に過去帳を閲覧することができなくなっているようです。重要なのは、これまで檀家としてお世話になったことへの感謝の気持ちを伝えた上で、改葬しなければならない事情を理解してもらうことだと思います。同時に、近しい親戚への報告と相談も欠かせません。お墓というものは精神性に根差していて実にセンシティブなものです。いくら本家であっても自分たちの一存で決めないで親戚の理解を得たうえで進めることが望ましいのかなと思います。


③【改葬許可申請書の記載】
現在の墓地のある市区町村から所定の書式を取り寄せます。この「改葬許可申請書」はとても重要な書類で、現在の墓地管理者(お寺や霊園)だけでなく、移転先の墓地管理者の署名捺印も必要となってきます。
なお、この申請書は遺骨一体に対して1枚の申請書が必要となりますので、ご先祖が多いお宅では意外にたいへんな作業です。ちなみに当家では12体のご遺骨が確認されましたので、都合12枚の申請書を作成することになりました。


④【移転先の墓地管理者からの書類発行】
①で移転先の墓地管理者に依頼しておいた遺骨の「受入証明書」や墓地の「永代使用許可証」発行してもらいます。


⑤【改葬許可申請書の提出】
必要事項を記入した「改葬許可申請書」に、移転先から発行された「受入証明書」「永代使用許可証」を添付して、現在の墓地のある市区町村の窓口に提出します。


⑥【改葬許可証の発行】
⑤で提出した改葬許可申請書が正式に受理されると、後日「改葬許可証」が郵送されてきます。早ければ当日のうちに発行されることもあるそうです。
改葬許可証が届いたら移転先の墓地管理者へ提出して遺骨の受け入れ準備を依頼します。
墓石の完成⇒遺骨の到着⇒納骨(開眼法要)のスケジュールを調整しておきます。


⑦【墓仕舞い】
お坊さんに「魂抜きの法要」をしてもらいます。この法要には近しい親族にも列席してもらう方が良いと思います。法要が終わったら遺骨を取り出します。取り出した遺骨は専門の引っ越し業者に梱包してもらい、改葬先に送ります。お寺さんに墓仕舞いのお布施をお渡しして解散となります。
魂抜きが終わった後は墓石屋さんに古い墓石を撤去してもらいます。墓地管理者の意向により整地作業が必要となる場合もあります。


⑧【開眼法要】
墓石が完成し遺骨が移転先に届いたら、新しいお墓に納骨をします。納骨の際、お坊さんに「開眼法要」をしてもらいます。法要が終わったらお布施をお渡しして開散となります。


移転先の選定から遺骨の引っ越し、そして最終的に開眼法要が終わるまで私の場合およそ1年かかりました。その間に地元山口県に帰ること3回。役所関係の事務手続きだけでなく親戚への説明など何かと気を遣う場面も多く、思い返せばけっこう大変ではありましたが、今となっては思い切って改葬を実行して本当によかったなと実感しています。
私は専門家ではありませんが、実際の体験からわかったことはたくさんありました。もしも故郷のお墓のことでお悩みの方がいらっしゃったらお気軽にお訊ねください。

 

 

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