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テナントさんに物件を買ってもらおう!
私どもハーキュリーズ・リアルティでは、日本全国の事業用不動産を取り扱ってまいりました。
事業用不動産の中でも「収益物件」といわれる、物件オーナー(賃貸人)がいてテナントさん(賃借人)がいるような物件の取り引きにおいては、たまにこんなケースがあります。売却意思のあるオーナーの物件を、賃借人が直接購入するというケースです。
実際の取引で私どもが経験した事例をいくつかご紹介しましょう。
事例① 板橋区内のファミリータイプ区分マンションの賃借人が、入居中の物件(区分所有権)を購入したケース。
事例② 横浜市内で築40年の木造平屋店舗を借りてラーメン店を営業中のテナントが、入居中の土地・建物を購入したケース。
事例③ 福島市内で山林を借りて採石場を経営していた会社が、採石中の現場を含む山林全体を購入したケース。
事例④ 大分市内でビルのワンフロアを借りてクリニックを開業していた医療法人が、クリニック部分を含むビル一棟を購入したケース。
これらの事例はすべて、売買によってテナントさん(賃借人)が所有権を持ったパターンです。賃借人が所有者になることで、同一人物が、賃借人でありながら賃貸人でもあるという二重の権利(地位)を持つ状態となります。この状態を民法では「地位の混同」とよんでいます。地位の混同が生じることで賃貸借関係は消滅し、所有権だけが残ります。
いずれの事例においてもテナントさん(賃借人)は長期間その物件を借りていて、その建物や土地に対して唯一無二の価値を感じています。住宅用として家族で長年住んでいれば愛着もありますし、その地域で長く営業している店舗であれば固定客も多いはずです。他の物件ではうまく代替がきかないということなのです。実際のところ、移りたくても移れない事情のあるテナントさんは意外と多いというのが私たちの実感です。
一方で、物件を売りたいと考えているオーナーにとってみては、テナント付きで収益物件として売却することが困難である場合があります。
事例②(ラーメン店)のように建物が古く老朽化していたり、事例③(採石場)のように利用形態が特殊であることで、金融機関の担保評価が低くなり投資家が敬遠するからです。賃貸中の区分マンションにおいてもしかりです。ファミリータイプのマンションは投資用ワンルームと異なり、自己使用の目的で売買されることがほとんどです。賃貸中であるファミリータイプは、即入居できる空室物件に比べて相当安くなってしまうケースもあります。
そういったときに有効なのが、直接テナントに物件を買ってもらうという方法です。
「もしよろしければ、今お借りいただいている物件を買っていただけませんか?」
テナントから「待ってました!」とばかりの対応をしてくれることが意外と多いものです。うまく取引が成立すれば、売主であるオーナーにとっても買主であるテナントにとっても双方ハッピーな結果となります。
ぜひ出口戦略の選択肢としてご検討されてみてはいかがでしょうか。