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不動産投資は個人・法人どちらが有利?
PartⅡ(キャピタルゲインの税金について)

キャピタルゲイン課税

前回のコラムでは収益物件を保有する際のインカムゲイン(賃料収入)の税務にフォーカスしながら、不動産名義は個人名義が得なのか、それとも法人名義が得なのかについて考えてみました。
不動産投資には、購入・運用・出口戦略(売却)という3段階のステージがありますが、今回は出口戦略(売却時)の税務に関するお話しです。売却益が発生した場合、あるいは売却損が発生した場合において、個人名義・法人名義のどちらが有利なのかついて検証してみます。

    【税務上のポイント】
   ①運用期間中のインカムゲイン(賃料収入)の税金はどちらが得か
   ②売却時のキャピタルゲイン(売却益)の税金はどちらが得か
   ③売却時のキャピタルロス(売却損)の処理方法はどちらが得か

キャピタルゲイン(売却益)の税金について
【個人名義の場合】

個人で保有している不動産を売却したときのキャピタルゲイン(譲渡益)は他の所得と分離されて課税されます。保有期間が5年未満は短期譲渡所得、5年超は長期譲渡所得となり、税率が大きく異なります。短期譲譲渡では40%超の厳しい税率ですが、長期譲渡では20%程度となり約半分で済みます。

     分離課税の税率
    (区   分)    (所得税率)   (復興特別所得税)   (地方税率)
    短期譲渡所得      30%       2.1%         9%
    長期譲渡所得      15%       2.1%         5%

 
【法人名義の場合】
法人の場合は、キャピタルゲインは他の事業の収益と合算されて法人税が計算されます。

        中小法人の法人税等の税率(※所得金額が年1,000万円以下の場合)
   (税   目)     (税   率)   (備   考)

    法 人 税       15%           所得金額800万円以下の部分
                23.2%           所得金額800万円超の部分

    地方法人税       4.4%           法人税を課税標準とする

    事 業 税       3.4%           所得金額400万円以下の部分
                5.1%           400万円超800万円以下の部分
                6.7%           800万円超の部分

    地方法人特別税       43.2%         事業税額を課税標準とする

    都民税(法人税割)     12.9%         法人税を課税標準とする

      ※平成
3041日以後開始する事業年度に適用される税率を記載しています。 


【個人と法人を比べると】
キャピタルゲインに関する税率を比較すると、 5年未満の短期譲渡では個人と法人の税額の違いはさほど大きくは変わりません。ところが5年超の長期譲渡で売却益が生じた場合には圧倒的に個人名義が有利だといえます。


キャピタルロス(売却損)の
税金について
【個人名義の場合】
個人が保有している不動産を売却することで赤字が発生した場合、平成15年度までは給与所得の黒字と損益通算することが可能でした。損益通算とはプラス(利益)とマイナス(損失)を相殺できるということです。給与所得1000万円の個人が不動産売却損1000万円を計上すると、その年度の収入がゼロであったとみなされ、確定申告をすることで支払った税金がすべて還付される仕組みです。
ところが平成16年度の税制改正により、不動産を売却したときの譲渡損失(赤字)は他の所得との損益通算ができなくなりました。個人が保有不動産を赤字で処分した場合には、税制上は何ら救済措置がないということになります。個人が不動産投資の失敗によって計上した売却損は二度と取り返すことができないのです。


【法人名義の場合】

法人税の場合においては、法人の不動産投資から得られた賃料収入による損益および譲渡による損益は、他の事業所得と合算されて単年度(一事業年度)の所得として法人税が課税されます。また、青色申告書を提出している場合には、一事業年度によって生じた法人の欠損金額(赤字)は、その事業年度後10年間の事業年度で生じた所得金額から繰り越し控除することができます


【個人と法人を比べると】

法人の場合には、売却による赤字は他の事業の黒字と相殺することが可能となりますので、その損失金額は会社が存続する限り、税金面で精算できる可能性があります。一方で、個人投資家の不動産投資の失敗については、税制面から見た救済制度は存在せず、一度失敗すると再チャレンジの意欲を大きくそいでしまう制度と言わざるを得ません。
不動産投資を継続的に、かつ規模を拡大していく上では、その投資主体は個人ではなく法人が適当ではないかと考えられます。不動産投資法人の設立および運営についてご興味のある方はどうぞお気軽にお問い合わせください。


取材協力 税理士法人ティーブレイン 代表社員 林聖二 様

 

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