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不動産業界に新時代到来
ただの不動産屋がIT企業に!?

不動産IT融合

これまでの企業のビジネスモデルは、企業と消費者の間にある情報の偏りを利用したものでした。消費者が対価としてお金を支払う商品やサービスの情報は、すべてそれを専門とする企業に集まり、消費者はリアルタイムで情報を共有することはできませんでした。商品やサービスだけでなく専門知識を含めたすべての情報が企業に集中することで、企業は情報仲介者としてのビジネスモデルを確立してきたのです。


変わりゆく不動産市場
不動産業界においても同様です。かつては物件の売り出し情報の99%は不動産会社に集中し、一般消費者が簡単に得ることはできませんでした。その結果、中古マンションを買いたい人は必ずどこかの不動産会社の窓口に行かなければならず、これまでの不動産会社はこの情報格差を利用してビジネスを行ってきたわけです。
ところが、この旧態依然としたビジネスモデルもそろそろ変わる時がきたようです。インターネットの普及やIT技術の発達によって一般消費者でも瞬時に必要な情報にアクセスできるようになったいま、不動産会社と一般消費者の情報格差は急速になくなりつつあります。同じ物件が複数の不動産ポータルサイトに重複掲載される光景が当たり前となり、よほど独占的で特別な情報でない限り消費者は振り向いてくれなくなっています。情報提供者としての不動産会社の価値は下がる一方。このままでは手数料の値引き合戦にも発展しかねません。


不動産取引 × インフィメーションテクノロジー = 「不動産テック」
このような時代の転換期を背景に、新たな不動産ビジネスが次々と生まれてきています。不動産テックと言われる新潮流です。
これまでの不動産取引という専門分野にIT(インフォメーションテクノロジー)を掛け合わせた新業態で、ネットワーク上でAI(人工知能)やVR(ヴァーチャルリアリティ)を駆使し、いつでもどこでも消費者に有益な情報を提供しているのが特徴です。例えばAIを使った不動産の価格査定サービスや、VRによる建物内覧の疑似体験など、いちいち営業マンにアポイントを取らなくてもすみますし、自宅で真夜中であってもサービスを受けることが可能になりました。
情報自体の特別な価値が薄らいでいくなか、消費者にとってはいかに便利で使いやすく有益であるかどうかが重要です。また一方では、消費者にとって不動産の世界は複雑で専門性が高く、わかりづらいというのも本音でしょう。その意味では、不動産会社がこれまで培ってきた専門分野への知見とITによる利便性を融合させることで、良いとこ取りのサービスが提供できることになります。


次世代の不動産プラットフォームとは?

近い将来においては、ブロックチェーン技術を応用した不動産登記や、不動産売買取引の完全非対面化なども可能になると考えられています。すでに国土交通省では全ての不動産を個別ID化し、過去の取引価格やリフォーム実績をデータベース化することを模索中のようです。かつて予見すらできなかった次世代型の不動産取引のプラットフォームの輪郭が、あと数年のうちにきっと見えてくるはずです。
これから私たち不動産業界が経験するであろう大変革は、これまでのパラダイムを根底からひっくり返す産業革命クラスの大事件になるかもしれません。
いずれは不動産会社とIT企業の垣根が完全に無くなり、社内でもTシャツにジーパンという軽装で作業に没頭している若者が増えているかもしれませんね。

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