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境界トラブルどうしたらいいの?
PARTⅠ(トラブル発生のメカニズム)

境界紛争

「お隣さんとの境界がどこなのかよくわからない」とか、「お隣さんの主張する境界が納得できない」といった境界をめぐるトラブルは世の中にたくさんあります。基本的には人間関係ですので、話し合いで穏便に解決できればそれに越したことはないのですが、どうしても上手くいかずにこじれてしまうことがあります。そんなときは誰に相談したらよいのでしょうか。また、具体的にはどのような解決方法があるのでしょうか。

その解決方法をご紹介する前に、まずは境界とは何かを知っておく必要があります。今回は「境界紛争どうしたらいいの PART1」と題し、境界トラブル発生のメカニズムや境界トラブルの予防について解説させていただきます。


境界には2種類ある
ひとくちに境界といっても、境界には2種類あることをご存じですか?
ひとつは国が定める境界、もうひとつは私人間(しじんかん)の合意で定める境界のことです。本来この2つの境界は物理的に同じであるべきなのですが、実際には異なっているケースが多く、このことがトラブルを引き起こす要因となっています。

①公法上の境界(筆界)
法務局で閲覧できる地図(公図)をみると、土地は1単位ごとに地番と呼ばれる番号がついていて、それらが互いに隣り合って連続していることがわかります。このように土地と土地の接する境界線は、筆界(ひっかい)と呼ばれており、国が定める境界のことです。
この筆界は所有権を持つお隣さん同士の話し合いだけでは変更することができません。私人間の合意する境界とは無関係に、ある程度の客観性と正確性をもって定まっている境界のことをいいます。あえて「ある程度の」と書きましたが、このことは公図の成り立ちを見れば解りやすいと思います。公図の多くは明治時代の地租改正にともなって作られた図面を基にしており、当時の測量技術や図面作成技術が未熟であったことから、当時の利用状況に基づく大まかな土地形状と位置を示しているに過ぎません。現在の測量技術で得られるような測量成果物の正確さとは比べ物にならないという点をご理解ください。

②私法上の境界(所有権界)
私人間(しじんかん)、つまり個人どうしの合意によって定められる境界のことです。民法上でいう所有権や占有によって決定されるものなので、お隣さん同士が話し合いによって境界を自由に変更することができます。
例えば、Aさんという大地主が自分の土地の一部をBさんに売ったとします。AB両者が合意することで民法上の境界は決定され、合意した境界線上に境界標等を設置することで物理的に表示することができます。国が定める境界である筆界に対して、この私人間の合意による境界は所有権界と呼ばれており、所有権界と筆界とは必ずしも一致しているとは限りません。


境界トラブルが発生するメカニズム
それでは、境界に関するトラブルはどのような場合に発生するのでしょうか。その原因について考えてみましょう。
先ほど所有権界の説明で例に挙げたAさんとBさんの事例において、AB間で合意した境界線上に境界標を設置しただけで法務局に分筆登記を申請をせず、公図の訂正をしていない場合はどうなるでしょうか?
長い時間の経過とともに境界標が紛失され、所有権界を物理的に明示できなくなる可能性がありますし、境界を確認した書類が紛失されたり、当事者の記憶も次第にあいまいになってくることでしょう。せっかく両者が定めた所有権界も客観的に説明ができなくなり、やれ越境だ、やれ占有だ、とトラブルに発展してしまうに違いありません。

また、登記制度にも問題があります。隣接地権者どうしの話し合いで所有権界を変更した場合でも、分筆登記や合筆登記をするかしないかは当事者の自由となっています。登記の有無は民法上、第三者への対抗要件になりますが、不動産登記法においては登記義務がないのです。


境界トラブルを防ぐには

これまでの説明で、所有権界を定めただけでは不十分であることがお解りいただけたかと思います。公法上の境界(筆界)と私法上の境界(所有権界)を一致させておくことで、はじめて境界トラブルを未然に防ぐことができるのです。公法上の境界(筆界)が所有権界と一致させておけば、後に所有権界に疑義が生じたとしても、法務局に備え付けられた公図と地積測量図のデータを基に境界を復元することができ、トラブルを回避することができるからです。

筆界と所有権界を一致させる具体的な方法は以下のとおりです。
まず、利害関係人全員の承諾のある確定測量図を法務局へ提出し、公図の訂正および地積更正登記の申請を行います。利害関係人全員とは訂正する公図に関係するすべての隣接地権者を指し、民間の地権者のみならず道路や河川といった公的な地権者も含みます。法務局の登記官は提出された確定測量図を基に現地を確認し、申請内容に問題がないと判断されれば、法務局に備え付けられている公図と地積測量図が訂正されます。
公図と現況との相違の複雑さ、あるいは訂正すべき公図の範囲によって、測量業務の難易度やコストが変わってきます。事前に専門家である土地家屋調査士にご相談されてみてはいかがでしょうか。

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