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不動産価格を押し上げる海外からの資金とは
代表的な投資戦略4パターンを解説

先日、夏の風物詩ともいえる路線価が発表され、全国主要都市や有名リゾート地において地価上昇がみられました。3年連続の地価上昇ということで大きく紙面を騒がせていましたが、近年わが国の土地価格を押し上げた大きな要因が海外からの資金です。
今や国内の不動産市場には世界各国から様々な種類のお金が入ってきています。この現象は今後も加速し、更に存在感を強めていくものと思います。

世界中を駆けめぐるお金は、例えば政府系の公的年金基金であったり、超富裕層のポケットマネーであったりと、実に様々な種類があります。そしてその資金の種類や性格によって投資基準は大きく異なります。
投資エリア、投資対象物件の種別、築年数、利回りなどの投資判断にそれぞれの資金の個性が反映されており、この投資判断基準のことをクライテリアと呼んでいます。なるべく低リスクで長期にわたって安定したリターンを求める資金から、高リスクをとる見返りに大きなリターンを求める資金まで、運用会社ごとにクライテリアや投資戦略には多様性があります。

ここでは4つの代表的な投資戦略についてご紹介していきます。この4つの投資戦略は大きな資金力と専門性を持つプロ投資家の実践する手法ですが、個人投資家においても色々なシーンで応用が利きます。感覚として身につけておいて損はないと思います。


コア型投資戦略
コア型とは、不動産賃貸収入であるインカムゲインを主な目的とする投資戦略です。いかに長期的に安定した賃料収入を得られるかが投資可否の最大の判断材料となりますので、賃貸需要が安定している立地に加え、良質なテナントが好むような建物の規模・グレードともにAクラス以上の物件が主な対象となってきます。築年数も新しいものが好まれ、概ねオフィスビルでは築20年まで、マンション等の住宅系では築10年までと言われています。

賃料の変動リスクが小さいので利回りは低くなる傾向にありますが、企業年金を運用する機関投資家などは低リスクで安定した運用を主眼としていますのでコア型投資戦略との親和性が高いといえます。


コアプラス型投資戦略
コアプラス型とは、インカムゲインを主な目的としながらも、売却時のキャピタルゲイン獲得も同時に狙おうとする戦略です。コア型とオポチュニスティック型の良いとこ取りのコンセプトですが、賃料が安定するほど不動産価格の変動が少ないのでキャピタルゲインが狙いにくかったり、価格変動が大きいほど利回りが安定しなかったり、互いに相反する要素も多かったりします。

この相反する二つの収益をいかに効率的に獲得していくかでトータルリターンの成果が変わってきます。例えば、資産デフレ下で不動産市況が良くない間はインカムゲインをじっくりと享受しつつ、資産インフレに入ったと判断されたらタイミングを見て売却しキャピタルゲインを狙います。このように市況に応じた臨機応変なマネジメントを行うことで投資家の利益を最大化することが可能となります。


ヴァリューアッド型投資戦略
ヴァリューアッド型とは、コアプラス型の発展形と考えるとよいでしょう。何らかの理由で収益性が低下している物件をなるべく安く取得し、新たに付加価値を付け加えることで収益性を改善させる戦略です。

例えば、立地に優れるオフィスビルであるにもかかわらず、経年による共用部デザインや設備の陳腐化が進む低稼働物件に対し、全面リノベーションを加えることで1階部分に人気カフェを誘致し上階を高稼働のシェアオフィスとして蘇らせた事例などがあります。付加価値を加えることでインカムゲインが増大し、不動産評価を上げることができます。売却時にはキャピタルゲインを獲得することも視野に入ってくるでしょう。

コアプラス型に比べて、投資対象物件の遵法性に問題があったり築年数が古くなる傾向が強く、付加価値を高めるための高度なノウハウも必要となります。ヴァリューアッド型のマネジメントにおいては、通常の運用会社という枠を超えた不動産会社的な企画力や知見が求められます。

 

オポチュニスティック型投資戦略
オポチュニスティック型とは、簡単にいうと安く買って高く売る買取り即転売型の投資戦略です。キャピタルゲインのみに照準を絞った極めてハイリスク・ハイリターンな特徴があります。代表的なものでは企業の保有不動産バルクセールや、金融機関の不動産担保付き債券バルクセール、不動産保有会社のMAなどがあります。
バルクセールやMAにおいては期日指定の限定入札形式で行われることが多く、限られた時間内で多数の不動産評価を行い投資可否の判断をしなければなりません。ときには投下資金が何百億円と高額になるケースもあります。

うまくいけば利益率も高いですが、バルク物件の中にはほとんど市場性がなく売れ残るリスクの高い物件も多く含まれています。運用する側も不動産価値の分析や市場動向を読む高い専門性に加え、莫大な資金力が必要となることから、まさに不動産金融のプロフェッショナルに限定された分野といえます。

 

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