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不動産投資の出口戦略はフレキシブルに!
タイミングとメソッドで決まる戦略の要諦
投資用不動産は、永遠に安定した収益を投資家に約束するものではありません。
新築で購入した物件もいずれは老朽化し、周りにライバル物件もどんどん建ってきます。次第に人気がなくなり、空室率が増加していきます。
変動金利で設定したローンが思わぬ金利上昇でキャッシュフローを圧迫するかもしれません。
かつてない大きな景気後退局面に出くわし、担保価値を大きく損なうこともあるでしょう。
投資家はこのようなシナリオを想定した上で、あらかじめおおよその運用期間を設定し、運用期間満了後の戦略を考えておく必要があります。運用にある一定の区切りを設け、投資期間中の利益を確定させる意味も含めて、これは投資家にとって必須の考え方です。
このような運用期間満了後のステージは出口戦略と呼ばれていています。
出口戦略とは
出口戦略には大きく分けてふたつの戦略があります。
ひとつは新たに運用期間を設定し、大規模なリノベーションや建て替えを行う戦略です。この場合、再運用するに値する集客性の高い立地であることだけでなく、担保力が大きく金融機関評価の高い土地であることが必須となります。
もうひとつは第三者への売却になります。
将来的に人口減による空室率の悪化が予想される地域であれば、収益性の高いうちに転売して損失を抑える方法が有効です。
既存建物が法定容積率を消化しておらず、容積率に余剰がある場合などは、更地にして売却することで評価が上がるケースもあります。
また、売却することで純資産のすべてを手にすることができます。純資産とは不動産の解散価値とも言い換えることができ、運用期間中の税引き後キャッシュフローの累計と購入時の自己資本、そして金融機関への元本返済累計額のすべてが合算されます。売却で得られたキャッシュを基に、より築年数の新しい物件への買い替えができますし、将来的な人口増加の見込める安定稼働物件へ組み替えることも可能になります。出口戦略によって、投資家の選択肢を大きく広げることができるのです。
勇気ある撤退
運用期間中は満室稼働で高収益を享受し、売却時には多額のキャピタルゲインを得られることは理想といえますが、現実はいつもそうであるとは限りません。ときには後ろ向きの売却シナリオもあるでしょう。
リーマンショック直後の、ある外資系ファンドの動きは実に俊敏でした。
もともとは3年償還を謳っていましたが、突発的な金融収縮の局面でディスポジションを前倒しにし、2割程度の簿価割れは当たり前と言わんばかりにものすごいスピードでポジションを落としていきました。半年後にはポートフォリオはおろか、事務所すら無くなっていたなんていう笑い話もあるくらいです。
このファンドマネジャーの英断が、結果的には投資家の損失を最小限に抑えたことは言うまでもありません。ときにはこんなドラスティックな決断も必要なのかもしれませんね!