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あなたのマンションは大丈夫?
【敷地権登記】は資産価値を左右します

1983年の区分所有法改正によって、新たに「敷地権」という概念が用いられることになりました。
ご存知のように、一般的な分譲マンションは建物(専有部分の区分所有権)と土地(共有持分による敷地利用権)が一体の物として利用され、土地・建物をそれぞれ別の不動産として利用することはできません。
ところが法改正以前は、法律上それぞれ別の不動産という考え方で、建物と土地を別々に売却することも可能でした。数ある取引の中には、建物(区分所有権)だけを売買して土地(共有持分)の売買を忘れてしまったケースもあり、土地(共有持分)を持たないマンションに住んでいるというウソのような事例も実際にあったようです。

このようなトラブルや登記の煩雑さを解消することを目的として区分所有法が改正され、敷地権登記されたマンションは建物と土地を別々に処分することができなくなりました。しかしながら、敷地権を設定するかどうかは任意なので、いまでも敷地権登記が設定されていないマンションは少なからず存在します。

あるお客様からのご相談
昨年末に、ある資産家の方からこんなご相談がありました。
もともとお父様がお建てになった一棟の賃貸マンションがありまして、相続によって依頼人様とご親戚2名の所有となっていました。権利形態としては敷地権登記がなされておらず、建物は区分所有登記、土地は2名共有持分での登記となっていました。

依頼人様は土地・建物の80%以上を所有していますが、物件が遠隔地であるため管理が煩わしく売却を希望されていました。
共有者であるご親族に対して「よかったら一緒に売りませんか?」と何度か打診されたようですが、ご親族はこの物件内に居住中であり、いますぐの売却同意はいただけなかったとのこと。
取り急ぎ、弊社にて市場性の調査と売却方法のご提案をさせていただくことになりました。

流動性を阻害するもの
市場性を検証するなかで、土地に敷地権登記がなされていないマンションは金融機関の評価が厳しく、購入希望者があらわれても資金調達に苦労することが予想されました。
あくまでも理論上の話ですが、敷地権登記されていない区分所有マンションは、土地と建物を別々に処分することが可能であるため、どうしても担保力には限界があります。何かの拍子に土地持分だけが他人に売却されてしまい、敷地利用権の無い建物だけを誰が買いたいと思うでしょうか?当然ですが、金融機関の評価額にも大きな影響が出てきます。

ご依頼の物件は環境・建物グレード・不動産利回りなど、どれをとっても申し分の無い物件でしたので、実際に売却営業をスタートしてみると、投資家様たちからは当初とても良い反応をいただきました。ところが、この物件単体だけでは思うような銀行評価が出ずに皆さま商談のステージがなかなか上がっていきません。銀行の支店ではGOサインが出ても本店審査部で融資額を大きく削られたり、同じような権利形態に対する過去の融資実績が無いことを理由に融資自体を否認されたり。。。
結果的には複数の投資用不動産を保有されている投資家様が、担保余力を背景とした資金調達に成功し何とか無事に取引に至りましたが、敷地権登記されていない区分所有マンションに対する金融機関の厳しい評価を目の当たりにすることになりました。

敷地権登記の重要性
分譲マンションの場合、売買が頻繁におこなわれることから、その流動性を確保するために管理組合主導で敷地権登記に切り替えているケースがほとんどです。
その点、今回のように同族で共有する賃貸マンションでは、共有者と別々に売却することを想定していませんので、いざというときに困ります。
これらの経験から、もしも敷地権登記がされていない区分所有建物を売却しなければならない場合、共有者の方と協力して同時に売却するか、もしそれができないときは、事前に管理組合を設立して敷地権登記を設定しておくことをおすすめします。

 

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