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LTV(ローン・トゥ・バリュー)の適正数値
安全な不動産投資のために知っておくこと
LTVはローン・トゥ・バリューの略称で、一般的には不動産購入価格に占めるローン(借入金)の割合を指します。
銀行融資の掛け目と表現した方がわかりやすいかも知れません。
ファンド会計など不動産金融においては、総資産のうちに占める借入金の割合を表しており、LTVが高いほどレバレッジがかかり、エクイティ利回りが大きくなります。逆の見方をすると、LTVが高くなれば、稼働率の下落や金利上昇などのリスクに対する弾力性が低いということになります。
投資目的別のLTV
上場しているJ-REITのように長期的な安定性が求められるものは、LTVが投資口価格(株価)に与える影響が少なくありません。年金や保険をコア運用する機関投資家はLTVに対してそれだけ敏感に反応します。
不動産賃貸収入(インカムゲイン)を主な目的としたコア型ファンドでは、概ねLTV50%~60%あたりに抑えられています。
逆に、売却益(キャピタルゲイン)を主な目的とし、リスクを取りながらも短期間で高いリターンを求めるオポチュニスティック型の投資ファンドでは、LTV70%くらいは当たり前となっています。
リーマンショック後に破綻したアグレッシブな(イケイケ系)プライベートファンドの中には、シニアローン(優先)とメザニンローン(劣後)を合わせ、なんとLTV90%オーバーの超弩級ハイレバレッジファンドもあったほどです。ここまでくると、もはや博打といえるレベルかもしれませんね。
ご利用は計画的に
個人向けの投資用不動産指南サイトなどで、「フルローン可能物件!」などの極端なハイレバレッジを推薦しているセールストークを目にしますが、はっきり申し上げて、この手法は間違っているように思います。
個人投資家の行う不動産投資はあくまでも長期的な運用を目的とした投資であって、短期間のバリューアップで転売益を得るためのものではありません。いずれ予期せぬ金利上昇局面やマーケット変動による稼働率低下といったリスクに対応しきれず、ローン返済ができなくなります。
時代は繰り返すと言われます。不動産投資が過熱して不動産利回りが下がれば、それを補うためにLTVがまたじわじわと上がっていくことでしょう。
LTVの考え方は、ファンドのみならず、すべての投資家がいつも肌感覚として身に着けておくべきものではないでしょうか。